現在地球上には、分類されているだけでも二百万種以上の生き物がいると言われています。
未知の動植物もまだ数え切れないほど生息していると考えられており、事実毎年のように新種が報告されています。
そういった新種の生物は、大抵が深海や熱帯雨林など人が滅多に訪れない場所で暮らしているのですが、ほんの40年ほど前に東京で新種のカエルが見つかったことがあります。
それがナガレタゴガエルです。関東の山間部でひっそり生きてきたこのカエル、いったいどのように生活しているのでしょうか。
今回はそんなナガレタゴガエルの特徴と生態、タゴガエルとの違いについてご紹介します。
ナガレタゴガエルの特徴
ナガレタゴガエルは、両生綱無尾目アカガエル科アカガエル属の生き物です。
学名は「Rana sakuraii」。
発見者である桜井淳史氏にちなんでつけられました。
体の大きさは、雄が4~5cm、雌が5~6cmほど。
背中は黄土色から褐色の色合いをしていて、おなかはそれより色が薄くなっています。目元から前足にかけて黒いラインが入っていて、見た目はなかなかお洒落です。
後ろ足の水かきが発達しており、これで近縁のカエルより上手に泳ぐことができます。
ナガレタゴガエルの生態
[ad#co-1]ナガレタゴガエルは日本の固有種で、中国地方から関東地方の山間部の渓流に生息しています。
渓流は常に水が流れており、その勢いに負ければ下流に運ばれてしまいます。
そのため、渓流を主な生活の場とするカエルは世界的に見てもほとんどいません。
しかし、大きな水かきのお陰で泳ぎの達者なナガレタゴガエルは平気です。
泳ぐ力を伸ばすことで、彼らは他のカエルが敬遠する場所で暮らす能力を手に入れたのです。
食性は小型の昆虫などを食べる肉食性で、水棲昆虫を狙うこともあります。
本州に生息するカエルの中でもっとも早い、2月から4月に繁殖期を迎えます。
雄が水中で「ククク」と鳴いて、誘われて近づいた雌にしがみつくとカップル成立です。
この行動を抱接というのですが、目があまり良くないナガレタゴガエルは自分と同サイズで動くものなら、なんにでも抱き着いてしまいます。
同種の雄ならまだ良い方で、魚やサンショウウオにも抱き着きます。
子孫を残したい一心とはいえ、陸地に上げられてもしがみついたままというから情熱的です。
流されないよう、卵は岩の下に多くて百数十個ほど産み付けられます。
孵化したオタマジャクシは川底に潜み、大人になるまでおなかに抱えた卵黄の栄養のみで成長します。
大人になると陸に上がりますが渓流からはあまり離れず、秋が深まる頃に戻ってきて水中で冬眠します。
タゴガエルとの違い
タゴガエルは日本固有のカエルで、ナガレタゴガエルとはそっくりな外見をしています。
そのため、ナガレタゴガエルも当初は先に見つかっていたタゴガエルの一種だと考えられていました。
両種のもっとも大きな違いは、ナガレタゴガエルが渓流に棲むのに対し、タゴガエルは森林に生息するということです。
タゴガエルの水かきは水中に適応したナガレタゴガエルのものより小さく、鳴き声も「グッ、グッ」といった感じです。
またナガレタゴガエルには繁殖期に体がぶよぶよになる特徴がありますが、これはタゴガエルには見られません。
いずれにせよ、専門家でも見間違えるほどよく似た姿をしています。
まとめ
・ナガレタゴガエルは日本固有のカエルで、渓流を生活の場としている
・ナガレタゴガエルの雄は水中で雌を誘うが、同種の雄や自分とサイズの近い魚にも抱き着いてしまう
・ナガレタゴガエルとタゴガエルと外見は似ているが、生息する場所や繁殖期になると体がぶよぶよになるといった違いがある
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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