マーラといえば、仏教の伝説に登場する魔物として知られていますが、同じ名を持つ動物がいることをご存知でしょうか。
頭はウサギのようで、体は鹿に似ています。お釈迦様を惑わせた悪徳の使いとは似ても似つかぬ、おとなしくてかわいらしい動物です。
しかしいったい何の仲間で、野生の環境ではどんな生活をしているのでしょうか。
今回はそんなマーラの生態と性格、野生での生息地についてご紹介します。
マーラの生態
マーラは哺乳類齧歯目テンジクネズミ科マーラ属の動物です。
マーラ属にはいくつかの種がいるのですが、単に“マーラ”とだけ言う場合、その中でも代表的な種であるパタゴニアマーラのことを表します。
体の大きさは中型犬くらい。テンジクネズミ科の動物としてはもっとも大きな体の持ち主です。
毛の色は褐色ですが、おなかやお尻には白い毛が生えます。尻尾は短く、目はくりくりしていてとても愛らしい顔立ちです。
大きな耳とほっそりした長い足を持っていて、ネズミの仲間だと言われてもすぐには信じられないかもしれません。
複数の家族から成る群れを作り、草原や岩場で生活しています。草や茎、根っこなどを食べる草食性で、特にイネ科の植物が好物です。
これはマーラがネズミの仲間であることも影響しています。
彼らの歯は一生伸び続けるため、硬い物をかじって適度に削らないと口を閉じることができなくなってしまうのです。
過酷な自然界を生き抜くためにマーラが選んだ武器は、逃げ足の速さと持久力です。
時速30kmから40kmほどのスピードで、1kmもの距離を走り続けることができます。
彼らの天敵であるピューマやオセロットなどの肉食獣は、短距離を素早く駆けることに特化しているため、一度距離を取ればもう追いつかれることはありません。
「Dolichotis(長い距離を走る者)」という学名が示す通り、マーラは天性の長距離ランナーなのです。
マーラの性格
[ad#co-1]マーラはおとなしく、臆病な性格の動物です。自慢の足で逃げている最中も、時々振り返って追っ手の様子を確認します。
飼育下では人間にもよく慣れ、最近では動物園でもよく見かける種となっています。
子育てをする際、マーラは地下に巣穴を用意します。
他の動物が作って放棄した巣穴を、ちゃっかりと再利用することもあります。
この時、群れにいる複数のペアが同じ巣穴で子育てをします。そうすることで効率的に子を育て、天敵から守ることができるのです。
また、マーラは一度ペアになると、一生同じ相手としか子どもを作りません。自然界では珍しい特性の動物だといえるでしょう。
マーラは弱い動物です。だからこそ、彼らは夫婦で、仲間同士でしっかりと絆を結び、力を合わせて生きていく道を選んだのです。
野生のマーラがいる生息地
マーラは南米大陸の南端、コロラド川以南に広がるパタゴニアと呼ばれる地域に生息しています。
パタゴニアマーラという名前はそこからつけられたものです。
農地開発などで生息地が奪われ、残念ながら個体数は減少しています。現在は準絶滅危惧種として、レッドリストに指定されています。
日本でマーラに会いたい場合は、飼育している動物園を探すといいでしょう。
井の頭自然文化園などに行けば見ることができます。
まとめ
・マーラはウサギのような頭と鹿に似た体を持つ、中型犬くらいの大きさのネズミの仲間
・マーラは天性の長距離ランナーであり、弱い生き物であるからこそ夫婦や仲間の結びつきが強い
・マーラは南米のパタゴニア地方に生息している準絶滅危惧種
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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