稲作を続けてきた日本人にとって、カエルはとても身近な生き物でした。
日本最古の和歌集である万葉集にも、かはづ(かわず)=当時の言葉で言うカエルが登場します。
神奈備の 山下とよみ 行く水に かはづ鳴くなり 秋と言はむとや
ここで詠まれているのがカジカガエルです。古来より日本人に愛されてきたこのカエル、いったいどんなところが魅力的だと思われていたのでしょうか。
今回はそんなカジカガエルの特徴と生態、鳴き声が聴ける時期についてご紹介します。
カジカガエルの特徴
カジカガエルは、両生綱無尾目アオガエル科カジカガエル属に分類される生き物です。
本州、四国、九州、五島列島に生息する日本固有種で、体の大きさは雄が3~4cm、雌が5~8cmほど。
肌は灰褐色で、不規則に斑模様がついています。
この色と模様は保護色として機能しており、棲む場所に合わせて個体差というよりは地域差があります。
指先には吸盤があり、スベスベした岩肌にもぴったりと張り付くことができるのです。
山地の渓流や湖を中心に生活しており、大人になって陸地に上がれるようになっても、水辺からあまり離れることはありません。
綺麗な水が無いと生きられないカエルで、近年の環境破壊や護岸工事で棲む場所を失い、個体数は減少。
現在は地域によって絶滅危惧種、あるいは天然記念物に指定され、大切に保護されています。
カジカガエルの生態
[ad#co-1]オタマジャクシの頃のカジカガエルは、水の中で藻などを食べる草食性です。
この時、吸盤状に発達した口で水底の岩に張り付くことで、水の勢いに負けて流されないよう工夫しています。
大人になると陸地に上がり、昆虫やクモなどを狙う肉食へと食性が変化します。
雄は産卵場所となる水辺に留まり、喉の鳴嚢を膨らませて「フィーフィフィフィフィ…」と鳴き、自分の縄張りを主張。
この鳴き声が鹿のものに似ていることから、「河にいて鹿のような声で鳴くカエル」=「河鹿蛙(カジカガエル)」と名付けられました。
繁殖期になると雌がやってきて、雄がその背中に乗るとカップル成立。その後水底の石や岩の下に、数百個もの卵を数回に分けて産み付けます。
カジカガエルの鳴き声が聴ける時期
カジカガエルの鳴き声は美しく、風情のあるものとして長年日本人に愛されてきました。
良い声で鳴くカエルを讃える「河鹿」という言葉は、このカジカガエルが由来になっています。
江戸時代にはカジカガエルを飼育し、彼らの鳴き声を家でも楽しむことが流行。
そのための河鹿箱というものまで作られました。
そんなカジカガエルの鳴き声をもっともよく聴くことができるのは、彼らの繁殖シーズンである5月から7月にかけてです。
縄張りを守るために、雌にアピールするために、雄たちは一生懸命鳴き続けます。
山でカエルの鳴き声を耳にしたら、近くの水辺の岩の上をそっと覗いてみてください。
古来よりこの国の人々に愛されてきたカジカガエルが、必死に美声を競っているはずです。
まとめ
・カジカガエルは、山地の水辺を中心に生活する日本の固有種
・カジカガエルは美しい鳴き声で知られ、昔から日本人に愛されてきた
・カジカガエルは本州、四国、九州、五島列島に生息し、絶滅危惧種や天然記念物に指定されている
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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