キシノウエトカゲの特徴と生態│販売や飼育は可能なのか

キシノウエトカゲは、日本最大のトカゲです。

しかし立派な体格に反して、ほとんど知名度がありません。トカゲ好きな人ですら、実物を見た人はとても少ないと言われています。

私自身、石垣島に訪れた際に一度だけ観察することはできましたが、なかなか生きた個体を見つけるのは難しいです。

今回は、そんなキシノウエトカゲの特徴と生態、販売や飼育が可能かどうかについてご紹介します。

目次

キシノウエトカゲの特徴

キシノウエトカゲは、爬虫類有鱗目トカゲ亜目スキンク下目スキンク上科トカゲ科トカゲ属の生き物です。

宮古列島と八重山列島に生息する日本の固有種で、体長は最大で40cmにもなります。前述の通り、日本最大のトカゲです。

漢字で書くと岸之上蜥蜴。現地ではバカギザあるいはパリイズゥ(畑の魚)とも呼ばれ、かつては貴重なたんぱく源の一つでした。

ニホントカゲをそのまま大きくしたようなスマートな体つきをしていて、体長の半分ほどを尻尾が占めています。

体色には個体差がありますが、やや黄色い淡褐色の肌に、帯状の黒いラインが縦に入っています。

このラインは成長するに従って薄れていくのですが、子供の頃はくっきりしていて、全身が黒っぽく見えます。

また幼い個体は尻尾が青い色をしていることもあり、パッと見は別のトカゲのような印象を受けます。

雄は雌より頭部が大きく、また繁殖期になると顎が赤みを帯びる特徴があります。

キシノウエトカゲの生態

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キシノウエトカゲは、草原や海岸などの開けた場所に生息しています。

ある程度隠れる場所があれば住処を選ばず、農耕地や民家の庭先に姿を現すこともあります。

日中性で、昆虫、ミミズ、甲殻類、カエルや小型のヘビ、自分より小さなトカゲまで、様々な生き物を捕食します。

春先になると繁殖期を迎え、雄たちは互いの頭部を狙って噛みつき合う、いわゆるコンバットダンスをして争います。

勝利した雄は雌と巣を作り、この中に卵を産み付けます。

その後、雌は卵が孵化するまで一匹で巣を守るのです。

体も大きくて貪欲なキシノウエトカゲですが、同じ地域に棲む大型のヘビや、人間が島に持ち込んだイタチを天敵としています。

キシノウエトカゲの販売はされていない

日本一大きいと聞けば、トカゲ好きなら興味が湧くはず。

しかし残念ながら、キシノウエトカゲは販売されていません。

なぜなら彼らは天然記念物であり、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類にも指定されているからです。

市街地にもやってくるキシノウエトカゲは、車に轢かれて死ぬ事故(ロードキル)が絶えません。

また、先ほどご紹介した通り、人間によって持ち込まれたイタチが新たな天敵となり、個体数は激減しています。

日本最大のトカゲとはいえ、彼らは自然界で最強の生き物ではないのです。

人の手で歪められた生態系は、人の手で元に戻さなければなりません。

キシノウエトカゲの飼育は違法

キシノウエトカゲは天然記念物かつ絶滅危惧種で、販売はもちろん飼育も許されていません

2018年、キシノウエトカゲを販売目的で飼育していた男が逮捕。書類送検される事件がありました。

彼らは絶滅の可能性もある希少な生き物なのです。一時的な保護すら、あとで問題になる可能性があります。

もし野生のキシノウエトカゲを見かけても、捕まえたりせず、そっと見守ってあげましょう。

まとめ

・キシノウエトカゲは、宮古列島と八重山列島に生息する日本の固有種

・キシノウエトカゲは日本最大のトカゲで、獲物を求めて民家や道路にも現れる

・天然記念物かつ絶滅危惧種で、飼育も販売も禁止されている

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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