ヘビは、その多くの種が泳ぎ上手です。
手足も無いのにスイスイと、器用に水中を泳ぎます。中でも海ヘビは水中での生活に特化しており、逆に陸地ではうまく動けません。
しかし、水中で生活するヘビは海にだけいるわけではありません。サワヘビという淡水の環境に特に適応したヘビの仲間がいます。
キクザトサワヘビは、そんなサワヘビの中で日本に生息する唯一の種です。いったいどんな生態を持っているのでしょうか。
今回はそんなキクザトサワヘビの特徴と生態、販売値段と飼育が可能かどうかについてご紹介します。
キクザトサワヘビの特徴
キクザトサワヘビは、爬虫類有隣目ヘビ亜目ナミヘビ科サワヘビ属の生き物です。
日本固有種で。沖縄諸島の一つ、久米島にのみ分布しています。
体長は50cmから60cm。頭から尻尾の近くまで体の太さがほとんど変わらず、パッと見るとウナギに似た姿をしています。
水中での生活に適応するため、頭の上に向かって開く特殊な鼻を持っています。
背は濃いめの黒褐色で、体の側面に黄色もしくは橙色の斑点が入ります。腹部は淡い黄色で、尻尾に近付くに従い黒くなっていきます。
海ヘビの仲間が強力な毒を持っていることも少なくない一方、同じく水棲生活をするキクザトサワヘビは毒を持っていません。
喜久里教達氏によって20世紀半ばに発見され、“キクザト”という名前はここからつけられたものです。
その当時はアオヘビの仲間と考えられ、キクザトアオヘビと呼ばれていました。
後の研究でそれが誤りであることが判明し、サワヘビ属に再分類。名前も現在のものに改められるという経緯を辿っています。
キクザトサワヘビの生態
[ad#co-1]前述の通り、キクザトサワヘビは水中での生活に特化したへビです。
山地にある渓流の近くに生息し、起きている間はほとんどの時間を水中で過ごします。
狙う獲物は甲殻類やオタマジャクシ、昆虫、小型の魚類など。
この小さな体で、20分以上も水中に潜っていられるというから驚きです。
陸上では動きが鈍く、自分より大型のヘビや猛禽が天敵です。
また、カエルの中でも特に大型なウシガエルの成体には、逆に食べられてしまうことがあります。
研究用に飼育されていた雌の個体の体内から、秋頃に十個ほどの卵が発見されています。
産卵していないことから卵胎生ではないかという意見もあるのですが、生態にはまだ未解明な部分が多い生き物です。
キクザトサワヘビの販売値段について
分布域が非常に限られ、かつ環境の変化にも弱いキクザトサワヘビは、現在絶滅の危機にあります。
絶滅危惧IA類、国内希少野生動植物種、さらにその生息地は保護区に指定されています。
今この瞬間にも絶滅しているかもしれないキクザトサワヘビ。売買どころか捕獲も禁じられています。
もし彼らが売りに出されていたら、違法に密猟された個体である可能性が極めて大です。決して手を出さないようにしましょう。
キクザトサワヘビの飼育は可能?
絶滅危惧種の中でも、CR指定…「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」とされるキクザトサワヘビ。
そんな彼らを飼育することは、残念ながらできません。
研究用に飼育することなら不可能ではありませんが、特別な許可が必要になります。
彼らが絶滅の危機を脱してくれることを、気長に待つことにしましょう。
まとめ
・キクザトサワヘビは、沖縄諸島の久米島に分布する日本固有種
・キクザトサワヘビは淡水中での生活に特化した種で、20分以上も潜水することが可能
・キクザトサワヘビは極めて深刻な絶滅の危機にあり、飼育も売買も禁じられている
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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