「地上最大の肉食獣」としても名高いホッキョクグマ。
大きな体や鋭い爪、とがった牙をもち、多くの人から恐れられる生き物です。
その一方で動物園や水族館では愛嬌のある姿やしぐさを見せてくれることも少なくありません。
今回は魅力がいっぱいのホッキョクグマの生態、共食いや冬眠をするのかについて紹介していきます。
ホッキョクグマ(シロクマ)の生態
ホッキョクグマは哺乳鋼食肉目(ネコ目)クマ科に属する生き物です。
全身が真っ白な毛におおわれているため、「シロクマ」と呼ばれることも少なくありません。
体長はオスの方が大きく、オスで200から250㎝、メスで180から200㎝ほどです。
クマの仲間の中でも頭が小さめで、首がやや長い傾向にあります。
雑食性で、アザラシの仲間や魚類、鳥類などさまざまな動物を獲物として捕らえます。
海藻やイチゴなどの植物を食べることもあるようです。
体が大きいことに加え、極寒の北極圏で体温を作り出す必要があるため、高いカロリーを必要とします。
大きなオスの個体では体を維持するために1日あたり10000キロカロリーを超えるエネルギーを必要とするのです。
泳ぎが上手で長時間にわたり海を移動できるほか、流氷の上に乗ってかなりの長距離を移動することもあります。
交尾の時期は3月から6月ごろです。
7か月から8か月ほどの妊娠期間を経て、メスは2、3頭の子どもを産みます。
ホッキョクグマの生息地
名前の通り、ホッキョクグマは流氷のある海や、北極海に面する沿岸などに生息する動物です。
季節によって生息地を移動することが知られています。
夏にはより北の方へ移動しますが、冬期には南へ動いて越冬するのです。
北アメリカ大陸の北部やユーラシア大陸の北部などで見ることができますよ。
ホッキョクグマは数が減って絶滅危惧種に指定
ホッキョクグマは狩猟などで絶滅が危惧されていました。
現在は地球温暖化や北極圏の環境変化によって個体数が減っています。
主な減少原因は北極海で氷が解けたことで活動できる区域が大きく減っていることです。
2009年段階での個体数は推定では26,000頭と考えられていました。
気候変動でこのまま移動できる場所が分断されていくと、2100年には絶滅する可能性があると予測されています。
ホッキョクグマの性格:獰猛かつ凶暴
カナダなどではホッキョクグマが人を襲うニュースがあり、大人の男性が死亡している事例もあります。
空腹状態であれば積極的に人を襲うこともあるので非常に危険です。
性格も凶暴かつ獰猛です。
ホッキョクグマが共食いをする理由
ホッキョクグマは共食いをすることが分かっています。
特に餌のない時期に飢えたオスのホッキョクグマが、子どもやメスを襲って食べてしまうのです。
地球温暖化が進むと北極圏の氷が減り、氷上で狩りをするホッキョクグマがアザラシなどをとらえることが難しくなります。
エサ不足によってホッキョクグマの共食いが増えるのではないかと考えられているのです。
ホッキョクグマの危険性:人を襲う事例
ロシアでは50頭ものホッキョクグマが村を襲撃して、人を追い回す事件が起きたことがあります。
車やライト、犬などにも恐れずに建物の中に入ってきたりしたようです。
凶暴化しているとも言われていますが生息できるエリアが限られてきて、餌の獲得が難しくなって人里へ進出してきていると言えますね。
ホッキョクグマは冬眠しない
クマの冬眠はよく知られた習性です。
冬になるとクマは体温や心拍数を落とし、餌の少ない季節を穴にこもるなどしてやり過ごします。
クマの仲間であるホッキョクグマは、他のクマのように巣穴にこもってじっとしていることはありません。
しかし、北極圏でも餌の少なくなる7月から11月ごろは、エネルギーの節約のため体温が下がり、冬眠に近い状態になることが分かっています。
代謝が低下している状態でもホッキョクグマは動き回ることができるのです。
とても興味深い生態のため、「ホッキョクグマは歩きながら冬眠する」といわれたりもします。
ホッキョクグマの寿命
ホッキョクグマの寿命は25から30年ほどといわれています。
しかし、生まれたばかりの子どもは生後一年以内に死んでしまうことも少なくないそうです。
水族館や動物園で飼育されている個体は30年を超える長寿を記録したこともあります。
まとめ
・ホッキョクグマは歩きながら冬眠すると揶揄され、代謝を下げて冬を過ごす
・ホッキョクグマは餌のない時期に飢えたオスが、子どもやメスを襲って食べてしまう共食いをすることがある
・ホッキョクグマの寿命は25から30年ほどだが、自然下では生後1年以内に死ぬ個体も少なくない
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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