“右利きのヘビ”と呼ばれる生き物がいます。
その名もイワサキセダカヘビ。しかし、ヘビといったら腕も足も無いはずです。
それがどうして“右利き”なのか…そこには、驚くべき生存戦略と進化の不思議が隠されています。
今回はそんなイワサキセダカヘビの特徴と生態、販売値段と飼育が可能かどうかについてご紹介します。
イワサキセダカヘビの特徴
イワサキセダカヘビは、爬虫類有鱗目ヘビ亜目セダカヘビ科セダカヘビ属の生き物です。
以前はナミヘビ科に分類されていましたが、近年の研究で独自性の高い種であることが分かり、彼らのために新たな科が作られました。
南西諸島の石垣島と西表島にのみ生息する、日本の固有種。本種を始め、セダカヘビ科のヘビは全てアジアに分布しています。
体長は50cmから80cm。明るい褐色のヘビで、頭から尾にかけて波状の縦縞が入ります。
胴は細く、中央が盛り上がり、円筒というより三角柱のような形をしています。これが“背高”の由来です。
頭部は楕円形で、上顎には牙がありません。
気象観測技術者の岩崎卓爾という人が発見したため、イワサキという名前がつけられました。
イワサキセダカヘビの生態
[ad#co-1]イワサキセダカヘビは、主に樹上を生活の場としています。
狙う獲物はカタツムリのみで、それ以外のものは食べません。
そしてこの極端な食性こそ、彼らが“右利き”の異名を持つ理由なのです。
狩りの際、イワサキセダカヘビは殻の中からカタツムリを引きずり出し、これを捕食します。
ヘビの下顎は左右に分かれる構造をしており、イワサキセダカヘビもそれは同じ。この片方を殻の中に差し込むのです。
そして大半のカタツムリは、殻が右巻きになっています。
そのためイワサキセダカヘビの下顎は、「右巻きの殻の中からカタツムリを引きずり出しやすいよう」右側の方が発達しているのです。
右側の下顎の方が牙の本数も多く、殻の中に隠れようとするカタツムリを実に器用に引きずり出します。
一方で左側の下顎は牙の数が少なく、左巻きのカタツムリを引きずり出すのは苦手です。失敗することも珍しくありません。
このことから、イワサキセダカヘビは“右利きのヘビ”と呼ばれるようになったのです。
繁殖時期は不明ながら、飼育下では五月頃に産卵したという記録があります。
イワサキセダカヘビの販売値段について
イワサキセダカヘビを購入することはとても困難です。
理由は単純で、彼らが非常に希少な種だからです。発見されることさえ数年に一度程度だと言われています。
環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されてはいますが、正確な個体数や生息環境はまだよく分かっていません。
今後の調査次第で、絶滅危惧種に指定され直されることも大いにありえます。そうなれば当然売買は全面的に禁止です。
取引自体はまだ可能ですが、爬虫類専門店を探すより、ハンターに直接注文した方が、手に入れられる可能性は高いでしょう…。
イワサキセダカヘビの飼育は可能?
もし運良くイワサキセダカヘビを手に入れたら、どのように飼育すれば良いのでしょうか。
彼らは主に樹上生活をするので、それを再現した環境を用意してあげましょう。
餌はもちろんカタツムリ。それ以外のものは食べないし、意外と大食いで一日に五匹ほどをペロリと平らげます。
爬虫類マニアの間では憧れの種とも言われるイワサキセダカヘビ。彼らの偏食に付き合うのは、なかなかに大変そうです。
まとめ
・イワサキセダカヘビは、石垣島と西表島に分布する日本固有種
・イワサキセダカヘビはカタツムリの捕食に特化しており、“右利きのヘビ”と呼ばれる
・イワサキセダカヘビは極めて希少な種で、一般的なペットショップにはまず出回らない
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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