動物に興味のある方なら、マントヒヒという名前を聞いたことがあるでしょう。
その名の通り、マントを身に着けたような姿をしている猿の仲間です。
古代エジプトでは神の使いとして大切にされていて、何千年も昔の壁画や彫像にその姿が残っています。
動物園などでもよく見かける猿ですが、野生ではどんな生活をしているのでしょうか。
今回はそんなマントヒヒの生態と性格、生息地について解説していきます。
マントヒヒの生態
マントヒヒは哺乳綱霊長目オナガザル科ヒヒ属に属する動物で、体長は大きいもので80cmほどにもなります。
全身の体毛が白く、肩と側頭部の毛がとても長く伸びています。
このケープかポンチョのようにも見えるふんわりとした長い毛が、マントヒヒの名の由来になっています。
ただ、毛が白くなるのも長く伸びるのも大人の雄だけに見られる特徴で、雌の体毛は生涯褐色のままです。
体の大きさも雄の半分ほどしかありません。
草原や岩場といった乾いた場所に暮らしていて、昼は食べ物を探して地上を移動し、夜は崖の上などの天敵に襲われにくい場所で休みます。
果実はもちろん、植物の葉、茎、根、種、虫や鳥の卵まで食べる雑食性。
捕まえることさえできれば、鳥や小型の哺乳類も食べてしまいます。
それだけ厳しい環境の中で生きているのです。
マントヒヒは、多い時には百頭ほどにもなる大きな群れを作ります。
研究者の間でバンドと呼ばれるこの群れは、クランと呼ばれる集団がいくつも合わさってできています。
一つのクランは中心となる一匹の雄、そして数匹の雌とその子どもたちで構成されています。
力のある雄が多くの雌と子孫を残す、ハーレムと言われる仕組みの一種です。
マントヒヒの性格
[ad#co-1]食べ物の少ない環境で生きるマントヒヒは、身を守るため、群れを維持するため、そして子孫を残すために恐ろしい一面を持っています。
クランを大きくするために、雄はまだ親離れしていない他のクランの若い雌を連れ去って自分の仲間に勝手に加えてしまいます。
雌がクランから離れようとすると、雄は大きく発達した犬歯で噛みついて引き留めようとします。
時には力加減を間違えて、そのまま殺してしまうことも。
まるで女性を誘拐して食い殺すと言われる日本の妖怪、狒々のようです。
そんな気性の荒さは、飼育されている環境でも変わりません。隣の檻の猿とケンカしたり、飼育員に物を投げたりすることもあるほどです。
獰猛なマントヒヒですが、その力は決して群れの仲間だけに向けられるわけではありません。
ヒョウやハイエナ、大型の猛禽などの天敵に襲われた時、雄はその大きな犬歯を剥き出しにして立ち向かうことがあります。
自分より遥かに大きい肉食獣相手に、仲間のために戦うのです。
苛烈なまでの勇猛さを持つマントヒヒ。しかしそれは、過酷な大地を生き抜くために彼らが身に着けた武器なのです。
野生のマントヒヒがいる生息地
マントヒヒの生息地は、エチオピアやソマリア北西部などのアフリカ北西部。紅海に面した乾燥地域です。
野生の個体に会うのは大変ですが、羽村市動物公園などで飼育されています。
動物園でマントヒヒに会った時、大きなアクビをしていたら…それはアクビではなく、牙を剥き出しにして「仲間に近付くな」と威嚇しているのかもしれません。
注意深く観察すれば、見分けがつくかもしれませんね。
まとめ
・マントヒヒはマントのような白い毛を持つ雑食性の猿
・非常に獰猛で、仲間を従えるにも天敵に立ち向かうにも、その気性の荒さを武器にする
・アフリカ北東部、紅海に面した乾燥地域の草原や岩場で暮らしている
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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