ヤモリは民家の中でも見かける、とても身近な生き物です。
南極を除くあるゆる大陸に分布し、種としては大成功を収めた彼らですが、中には希少種とされるものもいます。
たとえば小さな島のような、周囲から隔絶された場所に生息する種などが該当し、タシロヤモリもその一つです。
身近な隣人、だけど希少種。矛盾している気もしますが、いったいどんな生活をしているのでしょうか。
今回はそんなタシロヤモリの特徴と生態、販売値段や飼育が可能かどうかについてご紹介します。
タシロヤモリの特徴
タシロヤモリは、爬虫類有鱗目トカゲ亜目ヤモリ下目ヤモリ科ヤモリ亜科ナキヤモリ属の生き物です。
九州の南にある奄美諸島に分布しています。
全長は10cmほど。灰色から褐色まで体色は様々ですが、他のヤモリの仲間と比べると淡い色合いの個体が多いようです。
小さな突起が並んでる尻尾は、自切して囮にすることも可能で、時間が経てば再生しますが、再生した尾にはこの突起がつきません。
ナキヤモリ属の生き物ではありますが、同じナキヤモリ属で生息地が重なるホオグロヤモリと比べて、あまり鳴くことがありません。
積み荷などに紛れて日本に渡ってきたホオグロヤモリと同様、もともとは外来種なのではないかともいわれています。
しかし海を渡ったといってもそれがどれほど昔のことか分からず、他の地域で同種のヤモリが発見されたという報告もありません。
現地で代を重ね、その土地の生態系に完全に順応している。こうなると、もはや固有種と言ってもいいのかもしれませんね。
タシロヤモリの生態
[ad#co-1]タシロヤモリは森林などに生息する生き物で、人里の庭先でも普通に見かけることができます。
家の中にまで現れることもありますが、不快害虫を食べてくれるため益獣として大切にされています。
垂直の壁やガラス、果ては天井を歩くこともできますが、その秘密は彼らの手足にあります。
ヤモリの手足には趾下薄板という器官があり、これは顕微鏡で見てようやく分かるほどの極めて微細な毛が集まったものです。
これを壁などのわずかな凹凸に密着させることで、自分の体を支えるに足るだけの強い摩擦力を稼いでいるという次第。
まるで忍者のような話ですが、彼らのこの能力を参考にした商品なども開発されており、小さな生き物とはいえ侮れません。
ヤモリを漢字で書くと『家守』。文字通り、彼らは日本人にとって家を守ってくれる小さな守護者なのです。
タシロヤモリの販売値段について
時には家の中ですら見かけるタシロヤモリですが、実は彼らは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているとても貴重な生き物です。
イヌやネコ、マングースなど人間が持ち込んだ様々な外来種が新たな天敵となり、個体数が激減。
今では奄美大島以外ではほとんど見られなくなり、それらの場所では絶滅したとも考えられている状態です。
売買はもちろん、野生の個体を捕獲することも現在は禁じられています。
タシロヤモリの飼育は可能?
前述の通り、タシロヤモリは絶滅危惧種であり、飼育することはできません。
家の中にも現れるとはいえ、ただ隣人として見守らなければなりません。
極めて身近な生き物でありながら、絶滅危惧種という矛盾した状況にあるタシロヤモリ。
飼育することは諦め、彼らの個体数の回復を祈りましょう。
まとめ
・タシロヤモリは奄美諸島に分布する生き物で、固有種とも外来種とも言われる
・ナキヤモリの一種だがあまり鳴かず、民家周辺や家屋の中にも普通に生息している
・タシロヤモリは絶滅危惧種で、販売、購入、飼育、さらに野生の個体を捕獲することも禁じられている
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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